聴覚スキーマ

ピッチの変化をメロディとして理解するためには調性感が必要とされます。
ピッチの変化からメロディを理解するための枠組を聴覚スキーマといいます。

聴覚スキーマ【枠組】

認知心理学におけるスキーマは、構造化された一群の概念から成り立つもので、「出来事、シナリオ、行為、事物」などに関して過去の経験から得た一般的な知識を表します。

ここでの聴覚スキーマは、楽曲の鑑賞経験から得られる暗黙的知識であり、その音楽文化で使用される音組織(調性)や和声組織、特定の時代様式やジャンルに特有な音型や伴奏型、演奏スタイル(強弱やテンポのゆらぎなど)に関する知識などが挙げられます。

このスキーマを得ることにより、例えば弦楽器奏者のように一つ一つの音を自ら作り出す必要がある場合には、楽譜に記された旋律の音程が正確に演奏できたり、良い響きの重音(同時に鳴らした二つのピッチ)が演奏できたりすると考えられます。

概念的には、オーディエーションを可能にするのが聴覚的スキーマともいえます。

ピッチの変化をメロディとして認知するためには、メロディを理解するための認知的枠組みを必要とし、ピッチの変化をメロディとして理解するためには調性感が必要です。

ピッチの連なりから長調や短調といった調性を読み取ることになり、そして調性の枠組みが出来上がると、各音が調性の中でどのような役割をしているのかの解釈を行います。

このような処理は調性的体制化といわれるもので、調性にとって最も重要なのは音階の主音です。

主音は音階の基礎になる音で、主音が定まることによりメロディの理解がスムーズにでき、主音はメロディを理解するための基準点になっています。

メロディとして認知されたピッチの連なりは、パターン化されて記憶にも残り、調性的なメロディは容易に記憶できますが、調性感のないメロディでは憶えることが難しくなります。

調性的なメロディからは、「旋律らしさ」「自然さ」「まとまり感」を感じることができますが、調性感のない現代音楽のメロディからは、そういったものを感じることはできません。

スキーマは意識して働くものではないので、無意識的知識ともいわれ、環境や学習によって形成されます。

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