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ソナタ形式 【楽典】ピアノ/クラシック入門 初心者向け音楽 音符・楽譜の読み方

 

ソナタ形式は古典派の時代に確立され、その後のクラシック音楽において最も重要な位置を占めた形式で、提示部ー展開部ー再現部の三部からなる器楽形式です。

 

提示部の前に序奏、再現部の後にコーダ(終結部)が置かれることもあります。

 

二つの主題が多彩に展開していき、交響曲や様々な室内楽曲、独奏楽器のためのソナタなどの第1楽章や終楽章に多く用いられています。

 

三部からなるソナタ形式 [英:sonata form]

 

西洋音楽が18世紀後半に到達した最高の形式が「ソナタ形式」です。

 

複合三部形式の発展したもので、各部分はそれぞれ「提示部」「展開部」再現部」といい、「AーBーA」をさらに拡大したもので、Aが提示部と再現部にあたりBが展開部にあたります。

 

まず第1主題という男性的で印象的な部分があり、それを忘れ去られないようにするために、確保と呼ばれる繰り返しがなされ、続いて属調に転調するための経過句が置かれ、転調したところに女性的で歌謡性が豊富な第2主題が登場します。

 

こちらの確保は少し曖昧で省略されることもあり、その後にコデッタ(小結尾)が付いて提示部を閉じます。

 

展開部は一つの大きな核となる部分であり、作曲上の決まりごとは特にありません。既出の二つの主題を変奏・変形させて、転調を交えクライマックスに向けて盛り上げていきます。

 

際立った特徴としては、その終わりに低音による属音保続音(低音に同じ音が続く)が見られ、この属音によって主調へ戻ることが容易となります。

 

再現部は提示部と同じではありますが、第2主題は転調しません。その為にその前の経過句の長さや形が変わることがあります。そして終りのコーダ(結尾)は、コデッタよりも長くなるのが通常です。

 

ソナタ形式は、ハイドンからモーツァルトと継承されベートーヴェンによって確立されました。ベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタの中では様々な試みがみられ、序を持つものや再現部にもう一度、展開を含むもの(終末展開部)などがあります。

 

ソナタ形式の例

 

 

 

 

ソナチネ【小奏鳴曲】

 

〔伊:sonatina、独:Sonatine、仏:sonatine〕

 

日本での呼称名はソナチネですが、イタリア語ではソナティナといい、ドイツ語ではゾナティーナ、フランス語ではソナティヌといいます。

 

ソナチネは17世紀~18世紀頃より用いられており、当時は教会カンタータや組曲などの導入楽章を意味していました。

 

今日でのsonatinaは、sonataの縮小辞で「小さなソナタ」を意味し、ソナチネはソナタを小規模化したもので、形式的、内容的には同様です。

 

クーラウやクレメンティによって作られたピアノ教育用ソナチネが有名で、後にラヴェルやバルトークらにより、技術的にも芸術的にも内容の充実した作品が作られていきました。

 

ソナタ【奏鳴曲】〔伊・英:sonata〕

 

ソナタ(sonata)とは、イタリア語のソナーレ(sonare)【鳴る、響く、演奏する、心地よく聞こえる】を名詞化した言葉で、語源はラテン語のsono【音がする、響く、賛美する】です。

 

16世紀に入り、カンタータ(声楽曲)に対して器楽曲の総称として用いられることに始まります。

 

 

 

音楽的起源

 

16世紀イタリアで愛好されたフランスの多声声楽曲シャンソン(カンツォーナ・フランチェーゼ)の鍵盤楽器、またはリュートのための独奏用編曲と、その後それらと同じスタイルで新しく作曲された器楽曲カンツォーナ)であります。

 

カンツォーナは声楽に適した長音符を細かく分割したり、華やかな装飾を施すなど、器楽独自の語法を用いて器楽曲としての性格を確立していきました。

 

同時に原曲のシャンソンに元々含まれていた、速度や拍子の異なる部分の対比を一層強め、それらの部分を拡大し楽章として独立させることで、17世紀前半に多楽章形式のバロック・ソナタが生み出されました。

 

この時代の一般的なソナタは、編成の点からトリオ・ソナタ(2声+通奏低音)とソロ・ソナタ(1声+通奏低音)に分けられます。

 

また、楽章構成の点からソナタは、教会ソナタと室内ソナタに分けられ、教会ソナタは緩→急→緩→急の4楽章で、第2楽章はフーガ、第3楽章は緩やかな3拍子になります。

 

室内ソナタは、速度や拍子の異なる同一調(同主調)の舞曲からなり、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグなどを含んでいました。

 

教会ソナタと室内ソナタは、1700年頃イタリアで定型化されましたが、以後教会ソナタと室内ソナタの区別は曖昧になっていきました。

 

バロック時代のソナタの作曲家には、イタリアではヴェラチーニ、アルビノーニ、ヴィヴァルディ。フランスではクープラン、オトテール、ルクレール。ドイツではピゼンデル、テーレマン、ヘンデル、バッハらがいます。

 

イタリアの作曲家コレッリは、2本のヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタによる、教会ソナタと室内ソナタの名曲を残しています。

 

バロック時代でのソナタの楽器としては、ヴァイオリンの他にオーボエ、フラウト・トラヴェルソ、リコーダーなどが好まれて使用されていました。

 

 

 

ソナタ形式による色々なソナタ

 

ソナタにも色々なソナタがあり、一般的には第1楽章をソナタ形式にして、3~4楽章で構成される独奏曲、又は二重奏曲の器楽曲のことを言います。

 

ソナタを構成する各楽章はソナタ全体から見れば一部分ですが、それぞれが独立した曲として形態を備えており、そして他の楽章とも相互に関連して、「ソナタ」という大きな楽曲を構成しています。

 

ソナタ形式は提示部(主題)、展開部、再現部(主題)の3部からなる器楽形式で、提示部の前に序奏、再現部の後にコーダ(終結部)が置かれることもあります。

 

ソナタはピアノ曲の場合には、単にソナタやピアノ・ソナタといいますが、ヴァイオリンとピアノのためのソナタはヴァイオリン・ソナタといいます。

 

同じようにチェロとピアノはチェロ・ソナタ、フルートとピアノはフルート・ソナタなどといいます。ピアノを伴わないヴァイオリン・ソナタは、無伴奏ソナタといって区別します。

 

管弦楽のためのソナタが交響曲、ある独奏楽器と管弦楽のためのソナタが協奏曲です。ソナタは時代によって異なる意味に用いられてきましたが、ハイドンとモーツァルトを経て、ベートーヴェンによって現在の形態が確立されました。

 

 

 

アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ

 

アルマンド〔仏:allemande〕とは、ドイツ風を意味するフランス語で、バロック時代に器楽曲形式として栄えた舞曲の一種。

 

中庸のテンポの2拍子系のドイツ舞曲で、組曲の第一曲や前奏曲に続く第二曲として多用されました。

 

17世紀には、フランスの作曲家の間で4拍子の舞曲にされたり、18世紀後半には、速い3拍子系のアルマンドが生まれています。

 

クーラント〔仏:courante〕とは、後期ルネサンスからバロック時代の3拍子の舞曲の一種。

 

16世紀にフランスで生まれたクーラントは、2分の3拍子または4分の6拍子の優雅な舞曲で、イタリア語におけるコッレンテは、よりテンポが速い軽快な感じの舞曲です。

 

バロック時代の組曲では、アルマンドとサラバンドの間に位置します。

 

サラバンド〔仏:sarabande〕とは、12世紀にスペインで発生した舞踊。

 

中米の植民地で人気があり初めて言及され、逆輸入的な形でスペインにもたらされ、17~18世紀にヨーロッパの宮廷で流行した舞曲です。

 

4分の3拍子または2分の3拍子のゆるやかなテンポで、荘重な舞曲の一種で開始小節に先立ってアウフタクトが置かれる場合もあり、度々第2拍に長い音符を置かれるのが特徴です。

 

ジーグ〔仏:gigue〕とは、17~18世紀のヨーロッパで流行した3拍子系の舞曲の一種。

 

バロック組曲の終曲にしばしば用いられ、急速なテンポで演奏されるのが特徴です。

 

イギリスが起源といわれ今日ではジグと呼ばれ、8分の6拍子または8分の9拍子の舞曲で、イギリスやアイルランドの民俗的な舞踊の形式の一つです。

 

8分の6拍子の舞曲を「ダブル・ジグ」、8分の9拍子の舞曲を「スリップ・ジグ」、また8分の12拍子の舞曲もあり、「シングル・ジグ」や「スライド」と呼ばれています。

  




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