様々な演奏形態と曲種 [英:various genres]

オーケストラは最も大きい器楽の演奏形態ではありますが、音楽には形式の枠に収まらない自由な曲種も沢山あります。

独奏・二重奏

楽器奏者が単独で演奏する音楽

ヴァイオリンソナタなどピアノの伴奏がある場合などは、二重奏(デュオ)という形態になり、形の上では二重奏となりますが独奏となります。

曲としてはソナタや変奏曲の他に、ありとあらゆる形式の曲が書かれています。

1台のピアノを2人で弾く連弾や、2台のピアノ用のための曲もあります。

独奏楽器に伴奏がつかない場合は「無伴奏」といいます。

ソナタ

〔伊・英:sonata〕

名曲

◇ベートーヴェン
ヴァイオリンソナタ第5番『春』

◇フランク
ヴァイオリンソナタ イ長調 第4楽章

解説

第1楽章にソナタ形式の曲を持つ数楽章からなる作品
ソナタにも色々なソナタがありますが、通常は第1楽章をソナタ形式にして、3~4楽章で構成される独奏曲をいいます。または、二重奏曲の器楽曲のことをいいます。

独奏曲

〔伊:solo〕

名曲

◇シューマン
『トロイメライ』

解説

単独の楽器だけで演奏する楽曲
ピアノ、オルガンなどの1台の楽器だけで演奏する楽曲や、ヴァイオリン、チェロなどの独奏とピアノの共演の楽曲も独奏曲となります。

変奏曲<バリエーション>

〔英:variations〕

名曲

◇バッハ
『ゴルトベルク変奏曲』

解説

様々な変奏により音楽が展開する楽曲
テーマやフレーズのメロディの素材を、いろいろな奏法で変化させながら進行していく楽曲。拍子を変えたり、長調・短調を切り替えたり、装飾的な細かい音符で奏したりと、様々な変化を交えて構成されていく楽曲です。

練習曲<エチュード>

〔仏:etude〕

名曲

◇ショパン
『革命のエチュード』

◇ショパン
『別れの曲』

解説

演奏技術の習得を目的とし特定の形式を持たない曲」
演奏技術の習得のために作られた単調な曲から、ロマン派の時代にショパンやリストらが芸術に昇華させた、多くの演奏会用の作品までがあります。通常、練習曲の多くは各曲ごとに音階や分散和音などがまとめられ、習得する技術を反復するようになっています。

室内楽

小編成で演奏される音楽

バロック時代には王侯貴族の宮廷を「室内」といい、宮廷で演奏される様々な音楽を室内楽と呼んでいました。

古典派の時代になり、弦楽四重奏曲やピアノ三重奏曲などの主要な編成が確立し、管楽器など各種の楽器を加えることによって様々なジャンルが生まれ、これらを室内楽と呼ぶようになりました。

二つ以上の独奏楽器による重奏曲が対象となり、独奏曲や声楽曲は含みません。現代の重奏曲では声楽を加えることもありますが、器楽を主体にした重奏曲として室内楽に含めます。

重奏曲には弦楽器、管楽器、ピアノのみの編成と、これらの楽器が適宣に組み合わされた編成のものとがあり、これらは独奏と伴奏というような関係ではなく、各楽器が対等の立場に立って演奏する楽曲です。

三重奏ではピアノ三重奏(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)、四重奏では弦楽四重奏(ヴァイオリンⅠ・Ⅱ、ヴィオラ、チェロ)が一般的で多数の楽曲が書かれています。

合奏の均衡、音質の純粋さ、表現力などの面から弦楽四重奏が室内楽の代表的な曲となります。

五重奏では弦楽五重奏(弦楽四重奏+ヴィオラⅡ一般的)、ピアノ五重奏(弦楽四重奏+ピアノ)、木管五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)があります。

これ以上の編成は、六重奏、七重奏、八重奏・・とありますが、数は少なく楽器編成も様々です。

弦楽四重奏曲

〔げんがくよんじゅうそうきょく〕

名曲

◇チャイコフスキー
『弦楽四重奏曲 第1番』

解説

2つのヴァイオリン、ヴィオラ1、チェロ1の組み合わせによる室内楽の代表的な編成
ハイドンがこの形式を定め、モーツアルト、ベートーヴェン以降シューベルト、ブラームス、バルトークなど多くの作曲家が弦楽四重奏のための作品を残しました。

弦楽五重奏曲

〔げんがくごじゅうそうきょく〕

名曲

◇ボッケリーニ
『メヌエット 弦楽五重奏曲G.275』

解説

ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1の編成の室内楽
通常はヴァイオリン、ヴィオラ各2、チェロ1の編成による室内楽をいいます。

ピアノ三重奏曲

〔ぴあのさんじゅうそうきょく〕

名曲

◇メンデルスゾーン
♪『ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調』

解説

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各1の編成の室内楽
通常はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各1の編成による室内楽をいいます。

ピアノ五重奏曲

〔ぴあのごじゅうそうきょく〕

名曲

◇ブラームス
♪『ピアノ五重奏曲 ヘ短調』

◇シューマン
♪『ピアノ五重奏曲 変ホ長調』

解説

ピアノ、ヴァイオリン、チェロによるアンサンブル
通常はヴァイオリン、チェロ、ピアノによる編成の室内楽をいいます。

管弦楽

オーケストラで演奏される音楽

指揮者の指示のもと、様々な楽器が一体となって迫力のある音楽を作り出します。

複数の楽章からなる交響曲や、標題を持ち物語や詩のイメージを表現する交響詩のほか、組曲や序曲などの形で演奏されます。

弦・管・打楽器の集合体である管弦楽(オーケストラ)は、大規模な交響曲(シンフォニー)がその最高峰とされますが、交響曲とは作曲形式の一つです。

管弦楽のためのソナタが交響曲、ある独奏楽器と管弦楽のためのソナタが協奏曲となります。

ロマン派に入り前奏曲、狂詩曲などの単独の楽章による曲が書かれるようになります。

バロック期にはメヌエットやサラバンドといった、舞曲を組み合わせた組曲が多く書かれました。

✅管弦楽(オーケストラ)は演奏形態であり、室内楽や吹奏楽などと同様に演奏形態の総称を指します。

吹奏楽との区別で強調される傾向もありますが、管弦楽の名称は、管楽器と弦楽器の合奏を意味する、雅楽用語が明治初期の洋楽移入の際にオーケストラの訳語として転用された言葉です。

管弦楽曲とはオーケストラ用に作られた楽曲の総称であり、管弦楽のためのソナタである交響曲、そのほか管弦楽(オーケストラ)用に書き下ろされた楽曲は管弦楽曲となります。

協奏曲やオペラは、管弦楽団により演奏され形の上では管弦楽曲になりますが、協奏曲もオペラも管弦楽(オーケストラ)用に作られた楽曲ではない為、管弦楽曲には区分されません。

管弦楽団と交響楽団の違いについても同様に、管弦楽団は管弦楽曲全般を演奏するので、交響曲を含め協奏曲やオペラも演奏します。

交響楽団は、交響楽を指す「交響曲」「交響詩」を演奏します。

交響曲<シンフォニー>

〔英:symphony〕

名曲

◇ベートーヴェン
交響曲第5番『運命』

◇シューベルト
交響曲第8番『未完成』

解説

ソナタ形式による大規模な管弦楽用ソナタ
速さが急・緩・急の3部分からなるイタリア式序曲から進展し、18世紀中頃にこの形の基礎が生まれました。その後、ハイドンにより形態が整えられて基礎が確立し、モーツァルトを経てベートーヴェンの交響曲9曲により、あらゆる器楽曲の中で重要な地位を占める交響曲として完成されました。

交響詩

〔英:symphonic poem〕

名曲

◇R.シュトラウス
交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』

◇ムソルグスキー
交響詩『はげ山の一夜』

解説

標題のついた1楽章からなる管弦楽曲
文学的(詩的)、絵画的な内容を音楽で表現しようとするもので、自然界の音を音楽的に直接描写したり、楽曲の一部分に、ある人や意味を連想させるようにしたり、民謡を間接描写したりします。表現する内容の関係上、交響曲のような一定の形式はなく、動機が自由に発展される事もこの音楽の特徴です。このような内容の多楽章のものを標題交響曲といいますが、これらも含めて交響詩ということもあります。

序曲<オーヴァチュア>

〔英:overture〕

名曲

◇モーツァルト
オペラ『フィガロの結婚』序曲

◇ヨハン・シュトラウス2世
喜歌劇「こうもり」序曲

◇オッフェンバック
喜歌劇《天国と地獄》序曲

◇ロッシーニ
歌劇《ウィリアム・テル》序曲「スイス軍の行進」

解説

楽曲冒頭で導入的な役割をもった管弦楽曲
オペラやバレエ、組曲などの初めに演奏され、気分を高めます。単独で演奏会で演奏されることもあり、歌劇、オラトリオ、バレエなどの大規模な楽曲の冒頭に演奏される、導入的な役割をもった管弦楽曲です。

協奏曲(コンチェルト)

独奏楽器の技巧を生かした独奏楽器と管弦楽のための器楽曲

独奏楽器と管弦楽が互いにその華麗さを競い合う大規模な曲で、独奏楽器にはピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、トランペット、ホルン、ハープなどが用いられます。

協奏曲も交響曲と同様にソナタ形式による楽曲で、通常は3楽章で構成され、カデンツァという独奏者の技巧を発揮する部分が指定されているのが特徴です。

バロック期には、合奏協奏曲という小合奏と大合奏のやりとりが行われる曲も書かれていました。

現代に至るコンチェルトは、17世紀中頃にイタリアのベネツィアにある聖マルコ大聖堂に始まり、教会の構造上でオルガンを含めた管弦楽と聖歌隊がそれぞれ左右二つに分かれて配置される事になり、やがてこの配置が時を経て、左右が相呼応するようになり現代のコンチェルトへと発展しました。

協奏曲<コンチェルト>

〔伊・英・仏:concerto〕

名曲

◇ヴィヴァルディ
ヴァイオリン協奏曲集《四季》から「春」

◇モーツァルト
ピアノ協奏曲 第23番 イ長調

◇グリーグ
ピアノ協奏曲イ短調

◇ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第2番

解説

独奏楽器の技巧を生かした独奏楽器と管弦楽のための器楽曲
ピアノやヴァイオリンなどのソロ楽器と、オーケストラが一緒に演奏する協奏曲は、独奏者とオーケストラの協調や丁々発止のやりとりが特徴です。オーケストラと合唱団が共演する合唱曲もあります。

吹奏楽

木管楽器と金管楽器を主体に打楽器を加えた合奏

イギリスでの金管合奏(ブラスバンド)が元々で、その後の進展により木管楽器や打楽器を含むようになり、吹奏楽(ウインド・オーケストラ)へと進化しました。

作例は比較的新しいものが多く、ポピュラーの要素を取り入れた壮大な響きの曲が好まれます。

吹奏楽曲

〔英:band music〕

名曲

◇リムスキー=コルサコフ
トロンボーンと吹奏楽のための協奏曲

◇スーザ
星条旗よ永遠なれ

解説

木管楽器と金管楽器を主体に打楽器を加えた合奏
吹奏楽は管弦楽に比べ、弦楽器を含まないため繊細な表現力は劣りますが、音量が大きく、音色も明快で力強いのが特徴です。また弦楽器を含まないため、野外演奏をすることも可能とします。日本では吹奏楽団をブラス・バンド(brass band)といいますが、ヨーロッパでは金管楽器を主体にした編成をブラス・バンドといい、木管楽器を主体にした編成を単にバンドと呼び区別します。

劇場用作品

バレエの舞踊音楽や声楽中心のオペラなど劇としての音楽

舞踊音楽は、バレエのための踊りの伴奏音楽として作られ、後に組曲に編まれることが多く見られます。

オペラは原則的にはセリフを全て歌に作り上げた劇としての音楽で、会話に近いレチタティーヴォ、旋律を歌い上げるアリア、それに何人かの重唱であるアンサンブルと、序曲や間奏曲などの管弦楽曲からなる大規模な作品です。

舞踊音楽<バレエ>

〔英:ballet music〕

名曲

◇チャイコフスキー
バレエ組曲《くるみ割り人形》「行進曲」

バレエ音楽《白鳥の湖》「情景」

解説

バレエのために作られた音楽
バレエは言葉や歌を用いないで、身体の動作によってある主題を表現しようとする独舞と群舞で構成される舞台舞踊劇です。舞踊組曲は、ある舞踊音楽から何曲かを抜粋して演奏会用にまとめた管弦楽曲です。

歌劇<オペラ>

〔伊・英:opera〕

名曲

◇プッチーニ
歌劇<トューランドット>より『誰も寝てはならぬ』

◇ボロディン
歌劇《イーゴリ公》より「ダッタン人の踊り」

解説

声楽を中心にした劇形式の音楽
歌い手は独唱者と合唱者に大別され、独唱者は音高と音質によって決められた登場人物になり、合唱者は群衆的な役割を演じます。管弦楽は歌の伴奏と登場人物の性格や感情などの描写、場面の盛り上げなどを行います。

声楽曲

人間の声を中心とした音楽曲

演奏会用の独唱曲は歌曲で、数曲がまとまって歌曲集が作られます。

言葉を伴う曲が大半で古くは宗教曲が多く、教会の儀式のためのミサやオラトリオは、ラテン語の詩を用い独唱・合唱・管弦楽によって演奏されます。

オラトリオは、宗教的な内容を持つオペラと考えることができます。

歌曲

〔独:Lied〕

名曲

◇シューベルト
歌曲『野ばら』

◇メンデルスゾーン
6つの歌曲「歌の翼に」

解説

詩歌などの韻文を歌詞として旋律的に歌う声楽曲

独唱歌曲を主体とし、少人数の斉唱・合唱のものも含みます。オペラ、オラトリオなどの声楽作品の一部分の声楽曲は、歌曲とは呼びません。通常、独立した詩歌に音楽を付けて一つの楽曲として完成された音楽作品をいいます。歌曲はドイツでは「リート」と呼ばれ、フランスでは19世紀前半に「ロマンス」と呼ばれることが多く、後半には「メロディ」という名称が生まれました。オーケストラを伴奏にした歌曲も書かれています。ピアノ伴奏歌曲は、前古典派時代に生まれ発展してきましたが、ロマン主義時代になると、歌曲は表現に繊細さを加え、ピアノ・パートの表現力が増し、様々な国や民族の特色が反映されて、質的にも量的にも中心的なジャンルになりました。

オラトリオ

〔伊・英・仏:oratorio〕

名曲

◇ヘンデル
オラトリオ<メサイア>より『ハレルヤ』

解説

宗教的題材による劇的性格をもった演奏会形式の声楽曲

歌詞や題材は聖書などから取られることが多く叙述的で、多くの楽章で構成されます。独唱、合唱、管弦楽で編成されますが、合唱が最も重要な地位を占め、語り手によって物語が説明されます。オラトリオには舞台装置がなく、演技も伴わないことなどが歌劇と異なります。

受難曲

〔英・仏:passion〕

名曲

◇バッハ
『マタイ受難曲』

解説

キリスト受難の物語を題材にした声楽曲

独唱、重唱、合唱に管弦楽またはオルガンが加わります。テナーの独唱者が物語の推移を中ほど語るように、歌うようなレシタティーヴで中ほど説明するのが特徴です。通常、新約聖書の四福音書の中から受難に関する部分に作曲したものをいい、その福音書によって『マタイ受難曲』『ヨハネ受難曲』などといいます。

様々な曲種

行進曲<マーチ>

〔英:march〕

名曲

◇モーツァルト
『トルコ行進曲』

◇ヴェルディ
歌劇《アイーダ》「凱旋行進曲」

解説

行進の歩調に合わせた実用的器楽曲と芸術的曲

テンポなどを行進の歩調に合わせた実用的な器楽曲と、その情景などを描写したり、そのような雰囲気を表した芸術的な器楽曲とがあります。実用的器楽曲は、その用途によってテンポが違い、通常の行進では1分間に116~120、速足行進では132程度、結婚・儀式などでは108~112程度、葬送行進曲では76~80程度を基準とします。『星条旗よ永遠なれ』など優れた作品を数多く残したアメリカのスーザは、「行進曲の王」と呼ばれています。

幻想曲<ファンタジー>

〔英:fantasy〕

名曲

◇シューベルト
《さすらい人幻想曲》ハ長調

◇テレマン
《無伴奏フルートのための12の幻想曲》から第10番

解説

形式に関係なく幻想の赴くままに作られた器楽曲

幻想曲の元々は、それぞれが独立した動きをする複数の旋律で構成される、多声声楽曲を器楽曲にしたことに始まります。幻想曲には、心に浮かんだ詩的な幻想を自由な形でまとめた曲や、既成の旋律を主題にして自由に発展させたり変奏したりする曲など、様々なものがあります。

即興曲<アンプロンプチュ>

〔仏:impromptu〕

名曲

◇ショパン
『幻想即興曲 嬰ハ短調』

◇シューベルト
『4つの即興曲 第2番 変ホ長調』

解説

心に浮かんだままの楽想をまとめた器楽曲

即興的性格をもった曲という意味で、即興演奏で作られた曲ではありません。舞台の「即興詩」にあたるフランス語を、ショパンやシューベルトらがピアノ曲に使ったのが「即興曲」のはじまりです。

夜想曲<ノクターン>

〔英:nocturne〕

名曲

◇ショパン
『ノクターン 夜想曲 第2番』

◇リスト
3つの夜想曲 第3番 「愛の夢」

解説

静かな夜の気分を表した叙情的な器楽曲

深い情緒をたたえながら、うっとりと夢のようなメロディが流れるロマンティックなピアノの小品。特定の形式はなく、通常はゆったりとしたテンポで、表情豊かな旋律と分散和音の伴奏によるピアノ曲が多く見られます。

奇想曲<カプリッチョ>

〔伊:capriccio〕

名曲

◇リムスキー=コルサコフ
《スペイン奇想曲》第1楽章

解説

形式にとらわれない自由な曲想を持つ器楽小品

カプリッチョは「気まぐれ」を意味するイタリア語。自由な曲想を持つ器楽小品は、19世紀ロマン派の作曲家の得意分野です。形式にとらわれずに、フーガ風、幻想風、自由な形式による組曲風なものなどがあります。

狂詩曲<ラプソディ>

〔英:rhapsody〕

名曲

◇リスト
『ハンガリー狂詩曲』

解説

叙事的、民族的性格の強い器楽曲
民族的な雰囲気と奔放さを併せ持つのが「狂詩曲」の特徴。リストの『ハンガリー狂詩曲』のほか、ブラームス、ドヴォルザークらの作品が有名です。

前奏曲<プレリュード>

〔英:preludo〕

名曲

◇ドビュッシー
『牧神の午後への前奏曲』

◇ショパン
前奏曲 第7番 イ長調

解説

ある楽曲へ導入的役割をする小器楽曲

器楽曲での「試し弾き」の意味を持つ前奏曲。元々は組曲の最初やフーガの前に奏されましたが、後に単独の作品も作られました。フーガと組み合わされた有名な曲にバッハの『前奏曲とフーガ』があります。ショパンやドビュッシーは導入的性格をもたない、独立したピアノ曲にもこの名称をつけています。

間奏曲<インテルメッゾ>

〔伊:intermezzo〕

名曲

◇マスカーニ
歌劇<カヴァレリア・ルスティカーナ>より『間奏曲』

◇ブラームス
♪ 6つの小品.Op.118 2. 第2番『間奏曲 イ長調』

解説

劇や歌劇の幕間に演奏する短い音楽
多楽章構成の器楽曲に挿入されたり、オペラの幕間で演奏されたりする、くつろいだ曲想の曲。19世紀には単独の抒情的な器楽作品が多く書かれました。

組曲

〔英・仏:suite〕

名曲

◇ドビュッシー
『ベルガマスク組曲』より「月の光」

◇グリーグ
組曲<ペール・ギュント>より『朝』

解説

いくつかの舞曲をまとめて1曲にした器楽曲

11~12世紀に起こったエスタンピエという舞踊音楽から生まれ、エスタンピエは足で床か地面を踏み鳴らすという意味で、初期のものは足を踏み鳴らしながら賑やかに踊るラテン民族の踊りでした。その後、4~7曲で構成される曲のそれぞれの終りの部分を2回反復したり、独唱者が歌うと各句の終りの部分を合唱するような器楽と声楽の音楽へと発展し、古典組曲、近代組曲へと発達していきました。

舞曲

〔英:dance〕

名曲

◇ブラームス
『ハンガリー舞曲』

◇ドボルザーク
「スラブ舞曲」第2集 Op.72 第2番

解説

舞踏特有のリズムをもった器楽曲

舞曲は伴奏から始まり、元来は舞踏の伴奏音楽を意味しましたが、次第に舞踏の伴奏を目的としない、その特徴をもった音楽も作られるようになりました。16世紀は舞踏が盛んになり、農民や貴族の間に広く普及していきました。舞曲名にフランス語が多いのは、17世紀にフランスのルイ13世や14世が舞曲を好み、パリのベルサイユ宮殿を中心に栄え、これがヨーロッパ各地の宮殿に広まったことによります。舞曲と観客を対象にした舞踊音楽(バレエ音楽)とは異なります。

ワルツ<円舞曲>

〔英:waltz〕

名曲

◇ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ《美しき青きドナウ》

◇ショパン
ワルツ第6番 「子犬のワルツ」

◇ブラームス
ワルツ第15番 変イ長調

解説

オーストリアのレントラーが起源の3拍子の舞曲

本来は中庸の速さですが、現代は比較的ゆるやかなものと、1小節を1拍に数える速いウィンナ・ワルツと呼ばれるものとがあり、いずれも第1拍に強いアクセントを持つのが特徴です。また、実際に舞踏を伴う実用的なものと、ショパンのピアノ曲のように舞踏を目的としないものとがあります。ワルツは円舞曲とも訳されますが、これは男女2人が一組になって、互いに回転しながら大きく円を描くように踊られたことに由来します。ウィンナ・ワルツは「ウィーン風ワルツ」の意味で、ヨハン・シュトラウスらによって確立された様式のことをいいます。子で同名のヨハン・シュトラウス(2世)が「ワルツの王」と呼ばれ、『美しく青きドナウ』『ウィーンの森の物語』などの作品を残しています。ウィンナ・ワルツを確立した父は、「ワルツの父」と呼ばれています。

ロンド<輪舞曲・回旋曲>

〔伊・英:rondo〕

名曲

◇パーセル
アブデラザール組曲 第2曲 ロンド

◇サン=サーンス
『序奏とロンド・カプリチオーソ』

解説

ロンド形式による器楽曲

独立した曲もありますが、多くはソナタや交響曲の最終楽章などに用いられます。ロンド形式は、主題を反復する間に異なる楽想を入れる形式で、主題を強調することや軽快な楽想などを特徴とします。古典派ではソナタ形式と共に最も重要な器楽形式の一つになりましたが、ロマン派以降はソナタ形式と共に作例は少なくなりました。その後、単独の楽曲として、特にキャラクター・ピース(性格的小品)として取り上げられ、ショパン、メンデルスゾーン、シューマンなどに多くの作品が残されています。

ボレロ

〔西:bolero〕

名曲

◇ラヴェル
『ボレロ』

解説

スペインの古い民族舞踊の一種

ギターの伴奏でカスタネットを打ちながら踊る民族舞踊の一種で、伴奏は一定のリズム型を一貫して続け、曲の最初はこの伴奏部のみで始まります。1780年頃に有名な舞踊家のセレソがボレロとして創作したものとされています。ベートーヴェン、ウェーバー、ショパン、ラヴェルなどが作曲しています。

ポロネーズ

〔仏:polonaise〕

名曲

◇ショパン
『英雄ポロネーズ』

◇ショパン
『軍隊ポロネーズ』

解説

力強い3拍子リズムのポーランドの代表的な舞曲

ポロネーズはマズルカと共にポーランドを代表する舞曲ですが、ポロネーズは宮廷で発展し、伴奏部の特有なリズムなどを特徴とするのに対し、マズルカは農民の間から生まれて発展したもので、旋律自体のリズムを特徴とするなど、この二つの舞曲は対照的な舞曲となります。ショパンをはじめ、バッハ、ヘンデル、ベートーヴェン、シューベルト、リストなども作品を残しています。

マズルカ

〔波・英:mazurka〕

名曲

◇ショパン
『マズルカ 第13番』

解説

ポーランドの民族舞曲

ショパンにより芸術的に高められたポーランドの民族舞曲です。度々、第2拍や第3拍に強いアクセントが置かれるなど、旋律自体に特徴のあるリズムをもっています。ポロネーズとは発生やリズムなどが対照的で、同じ3拍子のワルツとは速さやリズムなどが異なります。マズルカ[mazurka]は、ポーランド北部マゾビア地方の地名に由来する言葉で、この地方を中心にして生まれた舞曲です。

セレナード<小夜曲>

〔英:serenade〕

名曲

◇シューベルト
<白鳥の歌>より『第4曲 セレナーデ』

◇モーツァルト
セレナード第10番 変ロ長調 『グラン・パルティータ』

解説

夕べに演奏されるような雰囲気をもった音楽

元来は屋外用の音楽で、その後に演奏会用の音楽になり、声楽曲と器楽曲とがあります。元々は夕暮れや夜に愛する人の窓下から歌いかける叙情的な愛の歌で、ヨーロッパでは中世からこのような習慣がありました。伴奏楽器は歌いながら弾けるギターやリュートなどが本来の楽器で、モーツァルトの歌劇『ドン・ジョバンニ』にその例が見られます。これが発展し、夜の宴会や庭園で演奏するための、娯楽的性格の強い小合奏曲のこともいうようになりました。

バラード<譚詩曲>

〔仏:ballade〕

名曲

◇ショパン
『バラード 第1番 ト短調op.23』

◇ショパン
『バラード第3番 変イ長調op.47』

解説

中世舞踏歌から発展した形式を持たない器楽曲

中世の初期までは舞踏と共に歌う通俗的な歌のことでしたが、その後、舞踏との関連がなくなり歴史的、物語的、風刺的な歌を意味するようになり、ショパンやブラームスはバラードの名称を付けたピアノ曲を残しています。これらのピアノ曲を物語詩を意味する譚詩を用いて、譚詩曲(たんしきょく)ともいいます。

スケルツォ<諧謔曲>

〔伊:scherzo〕

名曲

◇ショパン
『スケルツォ第2番 変ロ短調Op.31』

解説

おどけた感じの声楽曲から発展した器楽曲

速い3拍子、活発なリズム、技巧的な強弱記号などが特徴です。初期の頃には、軽いユーモラスな声楽曲のことをいいましたが、時を経て軽快な曲に進展していきソナタや交響曲などの第3楽章に用いられるようになりました。ショパンやブラームスなどは独立した楽曲を書いています。諧謔曲と訳しますが、初期の頃以外の作品は必ずしも諧謔的(おどけるよう)な作品ばかりではありません。

カンタータ<交声曲>

〔伊:cantata〕

名曲

◇バッハ
カンタータ第147番「主よ、人の望みの喜びよ」

◇バッハ
カンタータ第140番 シオンは物見らが歌うのを聴く

解説

バロック音楽の代表的な多楽章声楽曲

物語風の多楽章声楽曲で、独唱、重唱、合唱で構成され、歌詩の内容によって教会カンタータと世俗または室内カンタータに大別されます。教会カンタータは聖書や讃美歌などから歌詩が引用され、主にドイツで発展しバッハによって完成され、バッハの作曲活動の中心になっています。世俗カンタータは教会以外の町の行事や、王侯貴族らの祝い事など一般世俗的なものの為に作られ、主にイタリアで発展しました。歌劇とは演技や舞台装置がないことで区別され、オラトリオとは情景描写など劇的要素がないことで区別されます。発想用語のカンタービレ<cantabile>(歌うように)やポピュラー・ソングのカンツォーネ、シャンソンと語源は同じです。

カノン

〔英・仏:canon〕

名曲

◇パッヘルベル
『カノン』

解説

先行旋律を厳格に模倣して楽曲を構成する楽曲

模倣の技法により色々なカノンがあります。先行する旋律に対して、他の旋律が一定の音程感間隔を保って模倣し、その音程間隔が2度上や下なら「2度のカノン」、5度なら「5度のカノン」といい、同じ高さは「同度のカノン」といいます。先行する旋律を輪唱曲のように同じ形で模倣するものを「平行カノン」といい、それが3度離れていた場合には「3度の平行カノン」とうことになります。他には、先行する旋律の最後の音から逆に進行するものを「逆行カノン(蟹カノン)」、コーダ(結尾句)によって各旋律が同時終止するものを「有限カノン」、各旋律が始めから何度も繰り返されるものを「無限(循環・永久)カノン」といいます。

フーガ<遁走曲>

〔羅・伊:fuga〕

名曲

◇バッハ
小フーガ ト短調 BWV578

解説

模倣対位法による多声音楽の代表的な音楽

楽曲の冒頭に提示される単旋律の主題が楽曲構成の中心になり、これを複数の旋律が反復したり、模倣したり、他の付随的な旋律を重ねたりして構成されます。ソナタの時代に移ってからは、フーガという独立した楽曲は減少していくことになりますが、その形式はソナタなどの中に用いられています。フーガを代表する楽曲には、バッハの「フーガの技法」、「平均律クラヴィーア曲集」などがあります。以降の和声音楽の時代には、特にベートーヴェンがソナタや交響曲などにフーガ形式を取り入れています。

トッカータ

〔伊:toccata〕

名曲

◇バッハ
《トッカータとフーガ》ニ短調 BWV565

解説

即興演奏から生まれたオルガンやチェンバロ曲

自由な即興演奏で、指を目一杯に使用した幅広い重厚な和音と、急速な音階的パッセージ(経過句)、テンポの変化、音型反復の多用など演奏技巧を誇示するような華やかさを特徴とします。16世紀に始まり、17世紀には全盛期となり、バッハのオルガンのための『トッカータとフーガ ニ短調」が特に有名です。

レクイエム

〔羅:requiem〕

名曲

◇モーツァルト
『レクイエム ニ短調 “怒りの日”』

◇フォーレ
『レクイエム ニ短調Op.48』

◇ヴェルディ
《レクイエム》から”怒りの日”

解説

死者の冥福を祈って行われるミサのための音楽

楽曲構成の基本は、おおよそミサ曲と同じですが、レクイエムとしての性格から部分的な入れ替えや追加があり、通常ミサ曲とレクイエムは区別されます。モーツァルト、ブラームス、ヴェルディ、パレストリーナ、ベルリオーズ、フォーレなどの作品が有名です。レクイエムは、冒頭の歌詞を取って名付けられた言葉で、通常は訳さずにそのままのラテン語の歌詞で歌われます。

ミサ曲

〔羅:missa〕

名曲

◇シューベルト
ミサ曲 第6番 変ホ長調

◇ベートーヴェン
ミサ・ソレムニス ニ長調

解説

カトリック教会の儀式であるミサに歌われる聖歌

最も重要な儀式であるミサに歌われる聖歌で、通常は「キリエ」「グローリア」「クレド」「サンクトゥス」「アニュス・デイ」の五つの楽章からなる曲をミサ曲といい、曲名はそれぞれの歌詩の初めの言葉を引用して名付けられています。一定の儀式に発展したミサで読み上げられていた祈りの言葉が、次第に歌になったものがミサ曲です。初期の頃は単旋律でしたが、次第に無伴奏の合唱も行われるようになり、近代では独唱、重唱、合唱がオルガンで伴奏されたり、オルガン独奏曲(オルガン・ミサ曲)や管弦楽も加わる大規模なものまで作られています。

 

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