倍音の干渉による協和音と不協和音 【音楽の勉強・基礎知識/音楽用語・歴史】
協和音と不協和音を決める倍音の干渉、オクターヴ、完全5度、完全4度、長短6度、長短3度等。
和声学上の協和音程は、倍音の干渉の影響からも比較的高い協和感が得られる音程。
倍音の干渉による協和音と不協和音
Aという周期的な複合音(基本周波数=fHz)と、Bという複合音(基本周波数=1.9fHz)が同時に鳴らされた場合、Aの音が基本周波数f=約112Hz(小数点以下は省略)以上を持つ音の場合、この2つの基本音の周波数差(100.8Hz)は聴覚フィルタの幅(臨界帯域幅)を超え、基本音同士が干渉することはありません。
しかし、Aの音が第2倍音(224Hz)になると、Bの音の基本周波数(212.8Hz)の差は11.2Hzとなり、この周波数差は聴覚フィルタの幅よりも小さく2つの音は干渉します。
さらにAの第4倍音(448Hz)とBの第2倍音(425.6Hz)では、周波数差が22.4Hzで聴覚フィルタの幅よりも小さくなるので干渉し、その他多くの倍音同士が干渉することになります。
従ってこの和音の協和感は、倍音間に干渉がない場合より低くなることになり、2つの音の基本音の周波数比によっては成分間の干渉が大きく、かなり不協和な和音が出てくることになります。
2つの周期的複合音の基本音が、オクターヴ関係(周波数比が1:2)の2音である場合は、高音の倍音は全て低音に含まれる成分と周波数が一致し、成分間の干渉は起こらないので、純音同士と同程度の協和感が得られます。
2つの周期的複合音の基本音が、完全5度の場合でも多くの成分が一致し、成分間の干渉は少なく高い協和感が得られます。
このようなことから2音の音程がオクターヴ、完全5度の場合には協和感は高くなりますが、音程がそこからずれると協和感は低下することになります。
倍音の影響を考察した上での和声学上の協和音程は、オクターヴ、完全5度、完全4度、長短6度、長短3度など、協和感が比較的高い音程だということがわかります。