カウンターテナー(カウンターテノール)
カウンターテナーは、西洋音楽における成人男性歌手の一つの声部で、女性に相当する高音域を歌います。別名としてカウンターテノールとも呼ばれます。
以下に詳細を説明します。
- 定義と特徴:
- カウンターテナーは、変声期を過ぎた男性が裏声(ファルセット)や頭声を使って、女性パート(アルト、メゾソプラノ、ソプラノ)あるいは女性に相当する音域を歌うことを指します。
- カウンターテナーは、ボーイソプラノやバロック時代のカストラート(去勢された男性歌手)とは異なります。
- 英国などでは合唱のアルトにカウンターテナーが好まれ、しばしば「男性アルト」とも呼ばれます。
- また、テノールの延長で高音を出すもの(オートコントルという声種がある)も含まれることがあります。
- ソプラノを歌う男性:
- 特にソプラノ(Soprano)を歌う男性は、女性の最も高い音域(C4~E6)を出します。この場合、カウンターテナーとは区別して「男性ソプラノ」、または「ソプラニスト」(伊: Sopranista)と呼ばれることが多いです。
- 成立の背景:
- 中世のヨーロッパでは「女性は教会では黙すべし」という掟により、女性が教会や舞台で歌うことは禁じられていました。
- そこで、教会の聖歌隊では高音のパート(ソプラノとアルト)をボーイソプラノが担当していました。
- しかし、表現力に乏しく響きの弱いボーイソプラノのかわりに、アルトは成人した男性がファルセットを使って歌うようになりました。ここからカウンターテナーの始まりです。
- カウンターテナーは、イギリスの聖歌隊などで伝統的に今でも続けられています。
- 著名なカウンターテノール歌手(アルファベット順):
- 海外:
- アルフレッド・デラー (Alfred Deller)
- フランコ・ファジョーリ (Franco Fagioli)
- ルネ・ヤーコプス (René Jacobs)
- ドミニク・ヴィス (Dominique Visse)
- 他多数
- 日本人:
- 木村優一 (ソプラニスタ)
- 他多数
- 海外:
カウンターテナーは、西洋音楽の多様性を豊かにする重要な声部として、現代でも活躍しています。
カウンターテナー [英:countertenor]
カウンターテナー(countertenor)は、「アルトの音域を歌う男声アルト歌手」をいいます。
カウンターテナー<countertenor>
男声アルト歌手。テノールの音域よりもさらに高い、アルトの音域を歌う歌手。バロック時代の作品のカストラートのパートを度々担当します。
カストラートとは、少年期に去勢手術をして変声を止めた男性ソプラノやアルト歌手をいいます。
女性の登用が禁止されていた時代の、教会や劇場に採用されており、18世紀のイタリアでは、主役をカストラートに歌わせるオペラが流行していたといいます。